ただの分泌物だけでなく、女性にとって大切な存在である「おりもの」。
おりものは、膣内の洗浄や受精のサポートをしてくれる役割があります。
そんなおりものに、普段とは違うほどの臭いニオイを感じて、不快な思いをしたことはありませんか?
おりもののニオイは基本的に無臭か少し酸っぱいぐらいなのですが、ニオイがはっきりと認識できる強さである場合は何かしらの原因があります。
そこで今回は、おりものが臭くなる原因とその対策法についてお伝えしていくので、おりもののニオイに悩む女性は参考にしてください。
多少のニオイはおりものとして正常
最初に少しお伝えしましたが、多少のニオイがおりものにあることは正常の範囲です。
おりものの役割の1つに、膣内を弱酸性に保つことで、膣内への雑菌の侵入や繁殖することから守ってくれる働きがあります。
そして、酸性であるおりものは、少し酸っぱいニオイを発生させることがあるのです。
しかし、急におりものが少し酸っぱいどころではないほど臭くなった、という場合はデリケートゾーンや体調に異常があることがあります。
おりものは体の状態や体調の変化を表すサインでもあるのです。
おりものが臭い場合は、まず思い当たる原因を判明させ、原因によっては早急に対処していかなくてはなりません。
次から、おりものが臭い原因について順番に紹介していくので、おりものが臭いことに悩む方は、どれに当てはまるかチェックしてみましょう。
おりものが臭い原因7つと対策法
①陰部の衛生状態が悪い
おりもののニオイの原因として特に多いのが、陰部の衛生状態が悪いことによる雑菌の繁殖です。
陰部はその構造により、とても蒸れやすい場所です。
くわえて、陰部には脇と同じく、脂質やタンパク質を含んだ汗が排出されるアポクリン線が多くあるため、どうしても臭くなりやすいです。
そのため、通気性の悪いストッキングやタイツの着用を長時間していたりすると、蒸れが進み、おりもののニオイも悪化してしまうのです。
陰部は雑菌が繁殖しやすい環境のため、いくら自浄作用があるといっても限界があるのです。
対策として、なるべく通気性の良いものを着用するようにし、陰部周りを蒸れにくい環境にしていきましょう。
また、デリケートゾーンをちゃんと洗えておらず、汚れが残っている状態もニオイの原因となります。
落とすべき汚れや余分な皮脂はしっかり落とすことを心がけていきましょう。
②陰部を洗いすぎている
先ほどの項目で、清潔な陰部の状態を保つためには陰部の汚れをしっかり落とすことが大事だとお伝えしました。
しかし、汚れを落とすために陰部を洗いすぎてしまっても、おりものや陰部が臭くなる原因となるので注意が必要です。
デリケートゾーンは雑菌の侵入や繁殖を防いでくれるバリアを張ってくれているのですが、このバリアはとても繊細でもろいです。
そのため、ゴシゴシと強くこすって洗ってしまうと、簡単にバリアは壊れてしまい、雑菌が大量に増殖することになってしまうのです。
陰部を洗うときに心がけなければならないのは、「汚れは落としても必要なバリアは壊さないこと」です。
陰部を洗うときは必ず優しく洗うことを意識していきましょう。
可能であれば、デリケートゾーンを洗う用のソープや石鹸を利用するのが理想です。
デリケートゾーン専用の洗浄剤は、おりものと同じく酸性に近い性質でつくらているので相性がいいのです。
また、トイレでおこなうビデ洗浄を使うのもほどほどにしておきましょう。
③生理前のホルモンバランスの変化
生理前のときだけおりものが臭くなる、といった経験はありませんか?
生理前は体内のホルモンバランスが変化する時期であり、そのホルモンバランスの変化によっておりもののニオイに影響をあたえることがあります。
生理前の時期になると、皮脂の過剰分泌をおさえてくれる女性ホルモン(エストロゲン)の量が低下してしまうため、陰部周辺の皮脂の分泌が過剰になりがちです。
そして、過剰に分泌された皮脂はやがて酸化するため、普段よりもおりもののニオイが強くなってしまうのです。
また、生理前は体温が高くなりやすいこともニオイに関係しています。
悪臭の元となる雑菌は高温多湿の環境を好み、もともと雑菌が繁殖しやすい陰部が高温になってしまうと、さらに雑菌が繁殖しやすくなってしまうのです。
おりものが臭くなる原因がこういった生理前という時期的な場合、時間の経過で改善するので早急な対策は必要ないといえます。
ですが、気になる方は、生理前の時期は陰部周りの通気性などをより気をつかうことで対処していくといいでしょう。
④ストレスからくるホルモンバランスの崩れ
睡眠不足、不規則な生活習慣などによってストレスを抱えていると、おりもののニオイとなることがあります。
ストレスを過度に抱えてしまうと、体内のホルモンバランスが崩れてしまうからです。
ホルモンバランスが崩れてしまうと、陰部の膣内の善玉菌が減少してしまって雑菌が繁殖することとなり、おりものが臭くなってしまうのです。
ストレスを感じがちな方は、以下の例を参考にしてストレスを溜めこまない生活を心がけていきましょう。
- 睡眠を十分確保する
- 規則正しい生活をする
- 定期的に運動をする
- 自分の趣味の時間を持つ
⑤偏った食生活をしている
口にしたものは人間の体臭に大きな影響をあたえるのですが、おりものも例外ではありません。
体臭が強くなりやすい食生活をしていると、おりものが臭くなることがあるのです。
ニオイの原因となりやすい代表的な食品を紹介しておくのでチェックしてみましょう。
①動物性脂肪を多く含むもの
肉類・牛乳・チーズなどの動物性脂肪が多く含まれている食品は、陰部の悪玉菌を増殖させる原因となりるため、食べ過ぎると強いニオイを発生させることがあります。
②糖分が多い甘いもの
ケーキ・チョコレートなどの甘いスイーツも摂りすぎには注意です。
体内の悪玉菌は糖分もエサとするので、大量の糖分は悪玉菌を増殖させしまいます。
③アリシンを含んだ野菜
ニンニク・ネギなどには、刺激の強いニオイを発生させるアリシンという成分が多く含まれています。
健康にいいアリシンを含む野菜ですが、体臭に気をつかいたいときは口にするのをほどほどにしておきましょう。
また、体臭になりやすい食品がある一方で、以下のように体臭を防いでくれる食品もあります。
- 大豆 (豆乳・味噌なども)
- 緑黄色野菜
- 果物
- 海藻類
- 梅干し
おりものだけのニオイに限らず、体臭が気になる方はこれらの食品を積極的に摂取していくといいでしょう。
⑥抗生物質の服用による影響
風邪薬などに含まれている抗生物質を服用すると、膣内の善玉菌も殺菌されてしまい、膣内の自浄作用が低下することがあります。
なので、抗生物質の服用は一時的におりものやデリケートゾーンのニオイの原因となることがあります。
おりものが臭いときは風邪をひいている時期が多い、というのであれば、抗生物質が関係している可能性が高いといえます。
抗生物質が原因の場合、日にちがたてば改善します。
おりもののニオイのことだけに限りませんが、必要以上に薬を飲むことだけは控けましょう。
⑦病気の症状の表れ
おりものは体の健康状態を教えてくれる重要なサインでもあるので、病気にかかっているとニオイなどに変化が表れます。
そして、おりものが臭いことで最も注意しなければならないのが、この病気による原因です。
病気が原因の場合はそのまま放っておいても治ることは難しく、最悪は不妊などを招いてしまうことがあるのです。
病気に感染していると、おりものが生臭くなったりするので、他の原因に比べて違いがわかりやすいです。
また、ニオイだけでなく、色や形状にも変化が表れるのも特徴です。
この項目では、おりものに影響をあたえる病気を紹介していくので、もし当てはまることがあれば早急に産婦人科で診てもらうようにしましょう。
子宮頸(しきゅうけい)がん
主に40歳~50歳ぐらいの女性が発症していた子宮頸がんですが、最近は20代の女性の発症も増加してきています。
子宮頸がんは子宮の入り口部にできるのが特徴で、性行為によるウイルス感染によって発症します。
おりものは強い悪臭を放つようになり、生理時でないに出血がともなうことがあります。
放置していると妊娠が困難となったり、進行がすすむと最悪は死亡の可能性もある怖い病気なので、異常を感じたらすぐに医師に診察してもらいましょう。
淋病(りんびょう)
淋病とは性感染症で、性行為による淋菌の感染によっておこる病気です。
おりものが強いニオイを発するのと、見ためが膿のように黄色くなるのが特徴です。
淋病も放っておくと不妊症の原因となったりするので早急な対応が必要です。
クラミジア
最も有名な感染者が多い性感染症といえばこのクラミジアです。
発症原因は性行為によるもので、20代の20人中3人はクラミジアに感染中と言われています。
クラミジアに感染すると、おりものが強いにおいを発するようになり、色も黄色や緑色になったりします。
その他の症状として、下腹が痛くなったりすることもあります。
クラミジアは体で感じてわかる症状が出にくいので、おりものの変化のサインに気づくようにしましょう。
クラミジアは症状が進むと不妊症を招くこともあるので、異常を察知したらすぐに診てもらうようにしましょう。
トリコモナス膣炎(ちつえん)
膣内でトリコモナス原虫という微生物が起こす感染症をトリコモナス膣炎といいます。
トリコモナス膣炎に感染すると、おりものが独特なニオイを発するようになり、そのニオイは魚の腐ったようなニオイと例えられています。
また、おりものの色が黄緑色や黄色で泡立っているのも特徴です。
感染中は陰部のかゆみとなったり、免疫力が低下したりするので、おりものに思い当たる症状があれば医者に相談しましょう。
カンジダ膣炎(ちつえん)
カンジダ膣炎は誰もが体内に存在している真菌、いわばカビ菌が異常繁殖することで発症する病気です。
おりもののニオイが生臭い魚のような悪臭を放つことがあり、形状が白くヨーグルトのようにドロッとしていることが特徴です。
陰部に痛みやかゆみも表れるので、異変を感じたら医師に診てもらうようにしましょう。
細菌性膣炎(さいきんせいちつえん)
細菌性膣炎は膣内の雑菌が繁殖し過ぎ、炎症をおこしている状態です。
おりものが魚の生臭さ、腐ったチーズ、硫黄などのニオイがするのが特徴です。
他の症状として陰部にかゆみを感じたりします。
細菌性膣炎は陰部を清潔にすることで改善されるので、清潔な状態を保つようにしていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
おりもののニオイが気になる方は、今回ご紹介してきたことを参考にして原因をつきつめ、対策を始めていきましょう。
特に気をつけなければならないのは、病気が原因でおりものが臭くなっていることです。
病気が原因の場合、すぐに治療していかないと取り返しがつかないことになりかねないので、早急に行動するようにしましょう。
もし少しでも不安があるのであれば、産婦人科で検査を受けるようにしてください。
記事中でお伝えしましたが、おりものが臭くなる原因として多いのが陰部が不衛生な状態であることです。
陰部は普段から清潔にしておきましょう、と言いたいところですが、洗いすぎてもにおいやすくなるので気をつけなくてはなりません。
陰部はデリケートゾーンとも呼ばれるだけあってとても繊細なのです。
なので、今回の記事とあわせて陰部の正しいケアの仕方について学んでおくといいでしょう。
陰部のケアの仕方については以下の記事で詳しく解説しているのでぜひチェックしてみてください。